ダークホルムの魔術師大学総長ケリーダのもとに、山のように寄せられる手紙。魔術師、吟遊詩人、傭兵隊長、はてはエルフや龍まで、誰もが資産家チェズニー氏の横暴ぶりを訴えている。彼が40年前に別の世界からやってきて、この魔法世界を観光地にして以来、今や町も畑も荒れ果て、諸国の財政も危機に瀕している、風前の灯のダークホルムをチェズニー氏から救うのは誰か。ケリーダたちが神殿から授かったお告げは、魔術師ダークを名指しした。巡礼観光の到着を控え、ダーク夫妻と一男一女五グリフィンの子共たちが巻き起こす騒動の結末は?
(本書の紹介文より) |
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簡単に言うと、どうやら私達の世界の住人(だと思われる)の資産家チェズニー氏が、本編の主人公たちの住まう世界をテーマパーク化してしまった世界だとでもいいましょうか。魔法が存在し、モンスターや龍、吟遊詩人などまるでRPGの世界がまるまるある。こんな世界をうっかり発見してしまったら一儲けしよう、と考えてしまう人間が私達の世界にはいそうだな、と思ってしまうのは私だけでしょうか。
テーマパークというものを少し思い起こして欲しい。私達を楽しませてくれるアトラクションは毎回同じ仕事をし、ナビゲーターは決まったセリフを冗談を交えながら言う。始まりがありトラブルがおこりピンチに陥り最後はハッピーエンド。こんな展開のアトラクションに覚えがあるでしょう?しかし、この小説ではそんな生易しいものではない。たとえ人為的であっても、全てがリアルで行われてしまうのです!
魔法が存在する世界なのだから魔法はもちろん、戦争があれば本当に人が死ぬし、客がいる限り何度も何度も繰り返さなければならないのです。そのたびごとに人数を調整し(しかも命を掛けて!)馬を調達、指示によっては道を変えたり家を出たり壊したり、なんかもうめちゃくちゃなんですよ。
そこで、ようやく本腰をあげてチェズニー氏を追い出す計画を実行するのです。よく40年も耐えたと私は思います!
さて肝心の今年の闇の君役はお告げに従って魔術師ダークに決定。このダーク一家が災難を乗り越えながらも父を助けようと奮闘するのです。このダーク一家がDWJらしい個性の詰まったキャラクターで、一男一女五グリフィンという変わり者たち。このグリフィンはペットではなくダーク夫妻の子どもとして扱われています。さすがだ。内容の半分以上が観光巡礼団が到着するまでの忙しい準備期間の話ですが、この準備が進まない進まない(笑)。子供たちがトラブルメーカーなのはこの個性ゆえか、とおもえるほど面白いです。読んでみるとダークは結構まともな思考回路をしています。そして奥さん大好きだし。(←ポイント)愛。
準備に半分以上を費やしますが、後半はめまぐるしく展開して行きます。ラブも発生です。
後半目立つのはウロコさん。ウロコさんは頼れるおっちゃんって感じで好きです。
前半はばたばたとして膨らみすぎますが、後半に向かって急速にストーリーを絞っていく展開は見事でした。そしていつも飽きさせないストーリーも大好き。ちょっと長いけれど後悔はしません。お勧めです。
2003.11.13. |
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